小旅 28.5%

かねてから気になっていた「大乗」というフレンチのお店へ行ってきました(国府宮駅下車、南へ徒歩3分くらい)
ここは女性シェフのお店なのですが、この方がとんかつ屋さんから心機一転48歳でフランス料理のシェフを志し、実現されたという伝説(?)の人
今日、ご本人からお話を伺うことができて、さらに驚いたのですが・・・
「その身軽さというか、勢いがステキですね」と言ったら、シェフ曰く
「いえいえ、私は用意周到なんですよ」と・・・用意周到???

「フランス料理のシェフになろう!」と決意してから、一年間NHKフランス語講座で勉強して、テキストの裏表紙に載っていたニースの語学学校に留学し、さらに再びパリのリッツ系列の料理学校に学んだのだそうです(食事をしながら伺ったお話ですが、私の記憶が間違っていたらごめんなさい)
決心したのが48歳、パリに渡ってシェフになったのが50歳ですよ
感動してしまった
「私たち、まだまだだね」と一緒に行った友と語り合いましたことよ
いくつになっても遅すぎることなんてないんだ、それを肌で感じさせてくれる方に出会えたことに、幸せを感じた今日の出来事でした

お料理はね、そんなお母さんの人柄が表れてました
奇もてらいもないけれど、どれをとっても芯が強くてやさしい味

白身魚のテリーヌと自家製丸パン
テリーヌの下には雲丹のソース

地鶏卵のとろとろオムレツ
ふわふわとろとろうまー!

かぼちゃのポタージュ
すくな南瓜を使われたそうで、ほんのり甘くてやさしい味でした

野菜たくさんラタトゥユ
こちらは、一転ピリリと大人の味

鰆のシャンパン蒸しクリームソースと自家製ブリオッシュ生地のパン
鰆の表面に薄い膜があるのは新鮮な印

6時間煮込んだ牛のスネ肉
やわらかかったあ!ソースをパンにつけてぱくぱく食べたかった
手前のスネ肉はもちろん温かいんだけど、奥のポテトサラダはひんやり冷たくて、このコントラストがたまらん(交互に食べました)

自家製アップルパイ(パートシュクレも自家製)リンゴのババロア
「今年初めていい紅玉が手に入ったから」とお母さん談
ババロアは濃厚でプリンのようでしたが、甘さは控えめなので全くもたれない
するっと入っちゃいました

コーヒーまでおいしかったです(コーヒーはお父さんが淹れて下さった)
こんなに食べて2500円!オムレツがないと2300円だけど、タマゴ好きは食べた方がいいです
変なバターっぽさも何もない、軽やかなオムレツ
パンにオムレツをのっけて、もひもひ食べたかったけど、パンを食べちゃうとこの数々のお料理は食べきれないかも
でも、私たちがいくら大食らいだからといって、こんなに食べたら胃がもたれます
ところが、まったくもたれませんでした!それがびっくり
「素材に自信がある料理だね」とは友人談
うん、ほんとにそう
「今日のお魚は新鮮鰆です!」と紹介してくれたお母さんのうれしそうでちょろり得意げな、ほんとにいい表情を見たら、こちらまで幸せになってしまう
また行きたいな、ぜひともね

帰りに稲沢市荻須記念美術館(本日の画像。表ではないですよ←天邪鬼)へ行きました
こじんまりとして、たくさんじゃないけれど、でもとてもよい物が展示してあって・・・
またひとつお気に入りの美術館が増えました
ここの奥のギャラリーに荻須高徳画伯のパリのアトリエが再現されてます
ここも必見
家具のひとつひとつがよかったなあ

展示のひとつ『私のパリ、パリの私』(荻須高徳著 東京新聞出版局)の中に荻須画伯が「五十年」を回想されての言葉がありました

「ぼくなどは、いつも物たりなくて不満だらけの気持ちでやっていますから、自分自身で「自分のものはこれだ」とは、いえないのです。あす、何が出来るかわからない・・・。いつもあたらしい疑問に向かっての模索です。」
(『私のパリ、パリの私』荻須高徳著 P22ページより引用)

長年絵筆を握ってきて、世間からも認められている人でも、人生を模索しているんだ
人は生きている間は、ずっと旅の途中なのかな
感じ入ることの多かった一日
今日は、幸せな気分でぐっすり眠れそうです
(最近、わけわかんない夢ばかり見たのね〜、寝てるのに疲れるってくらいダイハードな夢じゃった・・・冒険しすぎ、おいら)